新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)

国際医療福祉大学 成田病院 感染症科部長 加藤 康幸 先生 監修
本ページの情報は、2021年3月作成時点のものです。

SARS-CoV-2

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、直径80~220nmのエンベロープを有する一本鎖プラス鎖RNAウイルスです1, 2)
SARS-CoV-2のゲノムは、4つの主要な構造タンパク質で構成されています3)

スパイク糖タンパク質は、ウイルスエンベロープの表面に存在するⅠ型の三量体膜貫通型タンパク質であり、ウイルスの付着、融合、侵入において重要な役割を果たしていることから、ワクチンおよび抗ウイルス薬開発のターゲットとなっています4)


SARS-CoV-2

SARS-CoV-2
国立感染症研究所で分離に成功した新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真

出典:国立感染症研究所ホームページ
国立感染症研究所で分離に成功した新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真 (niid.go.jp)


SARS-CoV-2の構造3)

SARS-CoV-2の構造

コロナウイルスには一般的なかぜのウイルスや「重症急性呼吸器症候群(SARS)」ウイルス、「中東呼吸器症候群(MERS)」ウイルスなどが含まれます。

表面のスパイクタンパク質が人の細胞の表面にあるタンパク質と結合することで、ウイルスが細胞内へ侵入し、感染を引き起こします。


  1. Park SE. Clin Exp Pediatr. 2020. https://dx.doi.org/10.3345/cep.2020.00493. Accessed July 23, 2020.
  2. Jiang S et al. Trends Immunol. 2020. https://dx.doi.org/10.1016/j.it.2020.03.007. Accessed July 24, 2020.
  3. World Health Organization. Transmission of SARS-CoV-2: implications for infection prevention precautions.
    https://www.who.int/news-room/commentaries/detail/transmission-of-sars-cov-2-implications-for-infection-prevention-precautions. Accessed July 24, 2020.
  4. Tai W et al. Cell Mol Immunol. 2020. https://dx.doi.org/10.1038/s41423-020-0400-4. Accessed July 8, 2020.

変異株

  • 感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の新規変異株の感染者が世界各地から報告され、いくつかの国ではこれらの変異株が感染者に占める割合が上昇傾向にあります1)
  • 国内においてもVOC※1の感染者やクラスターの報告が増加しつつあり2) 、特に英国で最初に検出されたVOC-202012/01、南アフリカで最初に検出された501Y.V2、ブラジルからの帰国者において日本で最初に検出された501Y.V3の流行が懸念されています(下表)1)
  • 2021年3月2日時点において、VOC-202012/01は106ヵ国(うち5ヵ国は検証中)、501Y.V2は56ヵ国(5ヵ国は検証中)、501Y.V3は29ヵ国(1ヵ国は検証中)で報告されています2, 3)

国内症例および検疫症例における新規変異株の種類1)

国内症例および検疫症例における新規変異株の種類

厚生労働省の収集した新規変異株症例情報(令和3年2月26日時点)およびHER-SYS(発生届)情報(令和3年3月8日時点)を用いた。


  1. 国立感染症研究所,日本における感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される 新型コロナウイルスの新規変異株症例について(2021年2月26日時点)2021年3月9日 (https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/10221-covid19-37.html)
  2. 国立感染症研究所,感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の新規変異株について (第7報)2021年3月3日(https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/10220-covid19-36.html)
  3. World Health Organization. Weekly epidemiological update - 2 March 2021. https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update---2-march-2021.

感染のメカニズム

SARS-CoV-2はヒトの心肺組織および造血細胞のACE2受容体を利用して侵入します。

感染のメカニズム

感染経路

●飛沫感染と接触感染が主要な感染経路と考えられます。

●感染者から1m以内の距離における感染が多いです。

感染者から1m以内の距離における感染が多いです。

●換気が悪い状況では、飛沫核(エアロゾル)感染が起こる可能性があります。

●院内でエアロゾル発生手技を行う際は、空気予防策をとることが推奨されます。

エアロゾルが生じると考えられている主な手技と注意点2)

エアロゾルが生じると考えられている主な手技と注意点

  1. Coronavirus disease (COVID-19): How is it transmitted? (who.int)​
  2. 日本クリティカルケア看護学会・日本集中治療医学会: COVID-19重症患者看護実践ガイド Ver.3.0