予防接種に関する一般情報

独立行政法人国立病院機構 東京病院 感染症科部長 永井 英明 先生 監修
本ページの情報は、2021年3月作成時点のものです。

予防接種の目的と意義

予防接種の効果としては、個人としてみた場合、①感染予防、②発病予防、③重症化予防の効果が期待されますが、より重要なのは集団としての感染予防の効果です。集団に対して免疫を付与することによる、感染そのものの封じ込め、すなわち④感染症の蔓延予防、⑤感染症の排除・根絶こそが予防接種の最終的な目標と言えます。


予防接種の目的

個人に対する効果
集団に対する効果

天然痘は、人類が初めて地球上から撲滅した感染症です。18世紀後半にエドワード・ジェンナーによる「最初のワクチン=種痘」は、感染力が強く病原性が強い天然痘ウイルスから人々を守ることができました。種痘の実施が徐々に世界中で広まっていき、1979年以降、世界中で1人も天然痘患者は報告されていません。

また、日本においては、百日咳、ジフテリア、破傷風、ポリオ、麻しん、日本脳炎等のワクチン接種により、死亡者数が劇的に減少しています。

日本における予防接種による死亡者数の減少

日本における予防接種による死亡者数の減少

予防接種の意義は「戦わずして勝つこと」といえます。感染症を予防できれば感染症に苦しむことなく、治療も必要ありません。そして、予防に対する費用は、一般に、治療に要するよりも少なくてすみます。さらには、現在深刻化している薬剤耐性微生物の蔓延に対抗するには、ワクチンが有効な手段といえます。

予防接種の種類

予防接種には定期接種、臨時接種などがあります1, 2)

予防接種の種類

予防接種と副反応

日本では、予防接種後副反応疑い報告制度があります。
ワクチンが原因と思われる「副反応」だけでなく、ワクチンとの因果関係が否定できない「副反応疑い例」も報告されます。

これは未知の副反応をキャッチするために必要な考え方なのですが、一方で、ワクチンとの因果関係が否定される事象も紛れ込むことになります。

予防接種後副反応疑い報告制度

参考:背景発生率

ワクチンを接種していない人で発生する有害事象(背景発生率)とワクチンを接種した人で発生する有害事象を比較することで、真の副反応か、紛れ込みかを判断する。

予防接種の副反応には、発現頻度は高いが軽度なもの(局所部位反応など)、頻度は低くても重篤なもの(アナフィラキシー、ギラン・バレー症候群など)があります。

なお、下表は医療機関から「重篤である」として届けられた有害事象の頻度です。

医療機関から「重篤である」として届けられた副反応疑い例(有害事象)

日本小児科学会の「知っておきたいわくちん情報」No.04 予防接種の副反応と有害事象

日本小児科学会の「知っておきたいわくちん情報」No.04 予防接種の副反応と有害事象

予防接種(一般)コミュニケーションのあり方

予防接種は、被接種者およびその保護者が、「予防接種による感染症予防効果」と「副反応」のリスクの双方に関する正しい知識をもって、自らの意思で接種することについて十分に認識し、理解する必要があります。


ワクチンのリスクとベネフィット

ワクチンのリスクとベネフィット1
ワクチンのリスクとベネフィット2

予防接種の目的

ワクチンの副反応をなくすことは困難です。 副反応のリスクが同じでも、感染症による重症化・死亡のリスクによってベネフィット(有効性)の重要性が異なります。

そのためには、医療関係者と被接種者またはその保護者の間で、良好なコミュニケーションが必要です。


ワクチン接種のためのコミュニケーションとその支援

ワクチン接種のためのコミュニケーションとその支援

副反応サーベイランス

現在日本では、市販後のワクチンの安全性を評価し、安全性に疑問が生じる場合には迅速に対応をとるため、2種類の副反応サーベイランスが実施されています。以下にそれを示します。

2種類の副反応サーベイランス、予防接種後健康状況調査と予防接種後副反応疑い報告制度

報告の流れ

報告の流れ

  1. 日本ワクチン学会 編:ワクチン. 朝倉書店:東京, 2018
  2. 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構webサイト:予防接種法に基づく副反応疑い報告(医療従事者向け):
    https://www.pmda.go.jp/safety/reports/hcp/prev-vacc-act/0003.html

副反応疑い報告は、発生した症状と予防接種との因果関係が必ずしも明らかでない場合であっても、保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止する観点から報告の必要があると判断される場合には、報告対象となり得ます。


報告基準および報告の様式

報告基準および報告の様式

予防接種健康被害救済制度

予防接種法に基づく予防接種を受けた方に健康被害が生じた場合、その健康被害が接種を受けたことによるものであると厚生労働大臣が認定したときは、市町村により給付が行われます。申請に必要となる手続き等については、予防接種を受けられた市町村にご相談ください。(厚生労働大臣の認定にあたっては、第三者により構成される疾病・障害認定審査会により、因果関係に係る審査が行われます。


申請から認定・支給までの流れ

申請から認定・支給までの流れ

給付の種類

給付の種類